年末調整…今年は大変!

今年も国税庁から年末調整に関する書類の配布が始まりました。毎年、この時期になると会計事務所として納税者の皆様に早めのご準備をお勧めするべく前年からの改正点をご説明しているのですが、さて今年の改正点は…大変です!多過ぎて説明だけでも大変です!全部、列挙したら嫌になってしまうくらいあります。最終的な計算はPCソフトを使っている方が多いと思うので大丈夫でしょうが従業員の皆様から集める書類にも変更があるので注意が必要です。

まず身近で大きな改正は「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書(基・配・所)」の新設です。タイトルが長い!長すぎる!書いただけで嫌になってしまいました。でも基礎控除に関しての記載箇所があるので全員が提出するべき書類です。昨年は配偶者控除に関する記載だけだったのですが今回から基礎控除額が所得によって変動することになったので今までの「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(まる扶)」だけでは済まないことになりました。さて、基礎控除は所得が2,400万円以下の方は48万円となり10万円増額!で嬉しい限りですが2,400万円超になると32万円になり今までの38万円より減額、2,450万円超だと16万円、2,500万円超だと、なんと!ゼロです!…ちょっと待って…年調って給与収入が2,000万円を超える人は対象じゃないのに…??なんと年調時に他の所得まで確認しなければならなくなりました。配偶者控除額の設定が細かくなった時にご本人の給与以外の所得額も確認事項になりましたが遂に必須事項になってしまいました。あ~あ…ボヤいていても始まりませんので従業員の皆様には丁寧に説明してご協力いただきましょう。

さきほど基礎控除が10万円増額!と喜びましたが実はぬか喜びです…給与所得控除(給与収入から引ける額)が10万円減額です。これは実際に計算した時にしか関係がありませんが「基礎控除が増えた」とだけ思っている方は年末調整還付額が増えていないと不満に感じるかもしれませんので「でもね…」と説明してください。

上記以外にも改正がありますが全体を正確に把握するのは相当、大変です。まずは改正点を一読してキーワード(例:850万円、特別障碍者、ひとり親など)に慣れてから従業員の皆様一人一人の事情に照らし合わせて適用がありそうか見極めるのが大変そうで一番、簡単な方法だと思いますが、いかがでしょうか。

もう一つ大きな改正点は「年末調整の電子化」です。遂にこの時代が来てしまいました。保険の控除証明などは数年前から電子発行もされているようです。もちろん電子化するには準備も大変だし電子化できない項目もあるので完全ではありませんが一部でも電子化をお考えの方はあらかじめ税務署に届出が必要です。「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出してください。提出した月の翌月末までに税務署から連絡がなければ承認されたことになりますので今月提出をお勧めします。

今年は従業員の皆様から書類をご提出いただいても確認事項が多そうで時間が掛かると思われますので早めのインフォメーションをお勧めします。年末調整の計算を外注している事業所様も従業員の皆様から書類を集めるのは総務や人事の方々だと思いますので、あらかじめ改正点の把握をなさっていた方がよろしいかと思います。早めの対処で、この繁忙期を乗り切りましょう!